2023年09月28日
牧野標本館を訪ねて
今日は、前から訪れたかった都立大学の「牧野標本館」に足を運んでみました。そこには、牧野富太郎が残した標本の一部やシーボルトが来日した際に集めた標本の一部などが展示されていました。牧野氏が、なんと60年以上にわたって、同じ場所で同じ植物種の標本を採集したと知り、植物に対する熱い気持ちが伝わってきました。まるで自分の子どもや孫の成長をいつくしむように一瞬、一瞬に見せる姿や形を見逃さないようにという思い。素晴らしいです!そのpassionは、彼が90歳ごろ、自宅で書した「花在ればこそ吾れも在り」という言葉からもよくわかります。本当に植物を愛した人だったんですね。また、展示の中に、牧野氏ゆかりの人々が作成した標本もありました。中でも楽しかったのは、果物や野菜の標本です。イチゴ、マンダリンオレンジ、スイカ、パイナップル、キュウリ、かぶなど色合いも形も美しくまるで絵画作品を見るようでした!実際にそれらを標本にするにあたり、立体的な果物や野菜をどのようにして平らにするのか、常に試行錯誤だそうです。そして「どの特徴を重視するか、どのように表現するかは人によって異なります」とありました。それらの標本は、「芸術作品」ともいえ、「採集者、作成の個性や思想が強く反映されている」そうです。確かに採集時期により、開花前だったりするなど、全く違ったものになりますね。今日の展示を見て、牧野富太郎という人の植物に対する一途な生き方、そして標本がもたらす多くの意味や意義(人々の暮らし、生活史、歴史、環境の変化などが標本からみえてくることなども含めて)を改めて考えさせられました。

マンダリンオレンジの標本です。甘い香りが漂ってきそうです!

マンダリンオレンジの標本です。甘い香りが漂ってきそうです!